voice by【ONIBUS COFFEE】代表・坂尾 篤史

“自分で淹れる”余白の時間を楽しむ

いつも客足が絶えず賑わいを見せるコーヒースタンド【ONIBUS COFFEE】は、コーヒースタンドとして営業するだけでなく、社会に対してもさまざまな働きかけを行っていることで知られています。

生ゴミ削減のためのコンポストや、コーヒー滓や籾殻などを完熟堆肥と配合した培養土「COFFEE SOIL」を商品化し廃棄物を資源に変えるなど、その活動は多岐に渡ります。

こうした自然環境に対する積極的な取り組みは、 私たちSANUが掲げる“Live with nature. / 自然と共に生きる。”というテーマとも大いに共鳴するところがありました。

そんな【ONIBUS COFFEE】のコーヒーをSANU 2nd Homeの滞在時にお楽しみいただけるよう、室内の冷凍庫にコーヒー豆をご用意しています。

今回は、そのセレクトの背景とコーヒーの美味しい淹れ方について、【ONIBUS COFFEE】代表の坂尾 篤史さんに教えてもらいました。

エチオピア という自然と共存するコーヒー豆

今回坂尾さんがSANU 2nd Homeで提供するコーヒー豆を選ぶにあたり、オリジナルブレンドをつくるのではなく、あえてもともと店舗でも提供している「エチオピア シングルオリジン」をセレクトしました。

エチオピアという品種はコーヒーの原種と呼ばれていて、 まずシンプルにコーヒー豆の素材の味を楽しめます。

また、今回選んだお豆を育てている農園があるウォルカサッカローという村は、多様性のある原生林のような森の中にコーヒーツリーが生えていて、土壌や水の流れも自然同様。そんな環境の中で自然栽培に近い方法で生産されています。

現地の方と直接取引を行うことが多い坂尾さんでも、これほど自然な環境で生産している農園は珍しいとのこと。

そんな自然と共存しているエチオピア農園の姿が“Live with nature.”にマッチしていると思ったのだといいます。

美味しいコーヒーを淹れる3ステップ

「エチオピア シングルオリジン」をおいしく飲むためには、まずはきちんと豆の量を計ることから。理想のバランスは豆とお湯が1:17の比率です

坂尾さん曰く、「オニバスでは一杯につき豆13ℊ:お湯225ccにしていて、これが一番大切なこと」とのこと。

少し手間をかけて豆とお湯の比率をしっかり守ることで、コーヒー本来の風味が損なわれず豊かな香りを楽しむことができます。

豆を挽くときは、味にムラが出さないためにグラインドを調整し、粗すぎず細かすぎない大きさに粒度に揃えましょう。

また、凍った豆をそのまま挽くことでも豆の粒度が揃うとのこと。

お湯の温度は93〜95℃が理想的。でも面倒くさい人は沸騰すればOKです。コーヒーの粉をセットする前にペーパーフィルターを一度お湯で流し、フィルター特有の臭いを取り除いたら、いよいよ抽出へ進みます。

お湯を粉全体に中心から外へ、外から中心へ円を描くように全体に注ぎ、コーヒーの粉に均等にお湯がいきわたるように一度スプーンで粉を混ぜます

そのあとはさらにゆっくりとお湯を注ぎ、3分かけて抽出していきましょう。この抽出する3分という時間もまた重要なポイント。

流れるような綺麗な所作でコーヒーが淹れ終わると、あのなんとも言えない香ばしいコーヒーの香りが広がります。

「自分でコーヒー豆を挽いて淹れるのは初めてという人も、コツを守りながら一つ一つ丁寧に入れれば大丈夫。目の前に広がる風景がコーヒーを格段に美味しくしてくれるから。」と坂尾さん。

雨の日も晴れの日も、どんな時だってコーヒーは心を穏やかにしてくれます。爽やかな朝にウッドデッキで鳥の声を聞きながら、夜の静かな星空を眺めながら。あるがままの今日の景色とコーヒーを、ぜひお楽しみください。

SANU JOURNAL OCTOBER 2021
Photo Sayuri Murooka Text Maya Nakamura

さあ、春の自然へ出かけよう