森と湖に包まれて。蓼科で過ごす、家族じかん〈前編〉

今回の舞台は、長野県・蓼科。
白駒池の苔むす森、静かな水面をたたえる御射鹿池、そして絶景のビーナスライン。四季折々に異なる表情を見せる自然が迎えてくれます。

 

目次

  1. 旅のはじまり-蓼科へ
    みちくさスポット

  2. チェックイン-SANUは、2回目の滞在から面白くなる

    • 夕ごはんのメニュー

 

早朝5時。旅の最終日の朝、御射鹿池のほとりにひとり佇む。

静かな水面に、木々と空が映り込む。
それは風景であると同時に、自分の心の内側を見ているような感覚でもあった。

 

旅のはじまり

次の旅先が蓼科に決まり、真っ先に思い浮かんだのは「御射鹿池(みしゃかいけ)でひとりの時間を過ごすこと」だった。

家族で訪れる旅なのに、思い描いたのは“ひとり”の時間。少し不思議にも思えたけれど、それもきっと、蓼科という土地が持つ空気に導かれたのだろう。

自然や信仰と深く結びつき、近代には、心と身体を癒し、ひらめきを求めて多くの文人や創作者が足を運んだこの地。
今回は、どんな景色に出会えるのだろう。そんなことを思いながら、車を走らせていた。

【1日目】12:00 手打ち蕎麦12ヶ月で、腹ごしらえ

諏訪南インターを降り、茅野市方面へと車を走らせる。まずは腹ごしらえに〈手打ち蕎麦 12ヶ月〉へ向かった。

人気の「12ヶ月セット」は、四季の食材を少しずつ味わえる前菜と、蕎麦のセットだ。最初に運ばれてきた前菜は、どれも滋味深く、身体にすっと染み込んでいくようなやさしさがあった。

続いて登場した蕎麦は、まるで澄んだ水を飲んでいるようなみずみずしさ。香り高い鰹の出汁が効いたつけ汁と合わさって、「やっぱり蕎麦は信州だな」と思わせてくれる。

夢中で蕎麦をすすっていると、ふと向かいの席に目が留まる。息子も、口いっぱいに蕎麦を頬張りながら、無言で箸を進めていた。その姿に、旅のはじまりをしみじみと実感する。

14:00 KALPAとたてしな自由農園で地元食材を調達

昼食を終え、チェックイン前に食材の調達へ。

立ち寄ったのは、〈KALPA(カルパ)〉というパン屋さん。長野県産の小麦と自家製酵母で焼き上げたパンは、見た目も香りも力強くて、美しい。カンパーニュとカルダモンロールを選んだ。

そのまま車で5分ほど走り、〈たてしな自由農園 茅野店〉へ向かう。地元の野菜や果物、ジャムや味噌など、生産者の顔が見える品々がずらりと並ぶ直売所だ。

どれも気になって、ついカゴに入れてしまう。

「夜は何にしようか」「朝ごはんにはこれが合いそうだね」—— 2泊分の献立を相談しながらの買い物は、それだけで旅の楽しさを深めてくれる。

 

みちくさスポット

📍手打ち蕎麦 12ヶ月 - Google マップ
古民家を改装したセンスの良い店内と美味しいお蕎麦で人気の名店。行列必至なので早めの時間に訪れたい。子供用の椅子や食器が用意されており、子連れでも安心。店名の12ヶ月という言葉には「信州の四季の移り変わりをお客様にかんじてもらいたい」「ひと月ひと月を大切に」という想いが込められている。

📍KALPA - Google マップ
長野県産小麦と自家製酵母のパン屋。購入したパンを入れる袋には”文化と培養”という言葉が。パンだけでなく繋がりのある生産者のグローサリーやオリジナルの雑貨なども並び、随所に店主の想いとセンス、そしてユーモアを感じる風通しの良いお店。軽食やドリンクのイートイン、テイクアウトもあり。

📍たてしな自由農園 茅野店 - Google マップ
長野県茅野市・蓼科山麓に2000年7月にオープンした、地元生産者の農産物直売所。隣接する諏訪市・原村・富士見町の会員農家300余名が出荷している地元の“食の台所”。茅野店では直売所の隣にカフェ&ベーカリーも併設している。

 

赤松の森に抱かれる、花蒔公園でひと息

買い物を終えたあとは、息子のご機嫌とりにひと休み。 向かったのは、ビーナスライン沿いにある〈花蒔(はなまき)公園〉だ。

持参したストライダーにまたがるやいなや、息子は勢いよくコースを爆走。そのあとをゼーゼー言いながら追いかけていると、ふと森の香りが、どこか違うことに気がついた。

そうか——このあたりは、茅野から蓼科にかけて赤松が群生するエリアだった。顔を上げると、自分たちよりはるかに高い赤松が、天然の傘のように頭上を覆っていた。

赤松の香りだと意識して、深く息を吸い込む。すーっとした清涼感が身体にしみわたり、五感がゆるやかにひらいていく感覚があった。

子どもの体力を発散させるために寄った公園が、思いがけず、天然のアロマで自分たちを癒してくれる場所になっていた。

15:00 チェックイン

「SANUは、2回目の滞在から面白くなるよ」そんな言葉を、以前友人から聞いていたのをふと思い出す。

今回泊まるのは、〈SANU CABIN MOSS〉という建築だ。前回泊まった〈SANU CABIN BEE〉とは間取りが異なっていたが、エントランスからダイニング、リビングへと続く一体感ある空間に、なぜだか馴染みがある。

キャビンに入るなり、息子がベッドへ一直線。まるでCMのワンシーンかというくらいの勢いで、ダイブ。その感触を全身で味わいながら「おれ、これ知ってるぞ」とでも言いたげな顔をしていた。

18:00 キッチンで、夕暮れのひととき

夕方、妻は〈たてしな自由農園〉で仕入れた野菜を前に、キッチンでミネストローネづくりに取りかかっていた。2泊以上の滞在なら、スープストックを初日に仕込んでおくのが、我が家のおすすめだ。

というのも——
「素敵なキッチンがあるから!」と、初日から張り切りすぎると、2日目にちょっと息切れしてしまう。これは、前回の滞在で学んだ小さな教訓だった。

この日のメインは、レトルトソースでさっと仕上げたパスタに、地元野菜のサラダ。おっと、忘れちゃいけない、蓼科名物の寒天もお皿に添えておいた。

野菜たっぷりのミネストローネと、気取らないメニューたちがテーブルを彩っていた。お腹も、心も、じんわりと満れていく。初日の夜は、静かに更けていった。

 

夕ごはんのメニュー

  • レトルトソースのパスタ

  • 野菜のミネストローネ

  • 蓼科名物寒天入りサラダ

 

〈後編〉は近日公開。おたのしみに!

 

text & photo

岩井 謙介(いわい・けんすけ)|東京都出身。2021年に長野・上田へ移住。「スローリビングの探求」「自然との調和」「ケアのある暮らし」をテーマに夫婦で営むショップ『面影 book&craft』の店主。共感やご縁を軸に、国内外のデザインプロダクトや本をセレクトしている。店舗運営の傍ら、編集者としても活動。先祖から受け継いだ計1000平米の畑では、耕さず・農薬も肥料も使わない「自然農」に取り組み、四季のうつろいに寄り添う暮らしを実践中。

 

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